日本バプテスト連盟の沿革

1889年に米国南部バプテスト連盟(以下、SBCと略)国外伝道局は、マッコーラム、ブランソン二組の宣教師を派遣しました。これらの宣教師の働きによって、九州を中心とした伝道が始まり、1903年には西部組合が結成されました。西部組合は、第二次世界大戦直前に、日本基督教団に合同し、国家総動員による戦争協力体制を担いました。1947年4月、E.B.ドージャー宣教師の呼びかけにより、福岡・西南学院教会で日本バプテスト連盟(以下、連盟と略)結成総会が持たれました。参加したのは、日本基督教団から離脱(伝道方策・教会政治・礼典理解の相違のため)した旧西部組合系の16教会でした。結成された連盟は、「全日本にキリストの光を」のスローガンを掲げ、まず県庁所在地に伝道所を開設し、その教会が拠点となって周辺都市に伝道を広げる開拓伝道に取り組みました。

SBCの兄弟姉妹は、敗戦後の日本の復興のために祈り、多くの宣教師を派遣し、バプテスト教会形成のために多額の献金を送ってくださいました。これらの祈りと、人的・物的・経済的支援を受け、連盟の開拓伝道は力強く推進されました。1963年の新生運動では、多くのSBCの牧師・信徒が来日し、伝道協力がおこなわれました。 1955年には、当時米軍の統治下にあった沖縄に「国外」宣教師を派遣し、1965年にはブラジルに宣教師を派遣するなど、国外伝道も連盟の協力伝道の大きな柱として進められてきました。現在までに、インドネシア、タイ、シンガポールに宣教師を派遣しています。

1970年、世界バプテスト大会が東京で開催されましたが、この頃、神学校や各教会において、教会の存在意義・宣教を問う教会闘争が起こりました。そのような中で、世界で苦悩する人々と共にキリストの福音に生きるための種々の活動がおこなわれるようになり、現在では靖国神社問題、日韓・在日連帯問題、公害問題、部落問題、「障害」者と教会、ホームレス支援、性差別問題の特別委員会が活動しています。

1976年には米国・SBCからの支援を打ち切り、経常費自給化を達成しました。経済的自立と共に、1979年に「信仰宣言」、1988年に「戦争責任に関する信仰宣言」を採択し、大嘗祭反対運動等を経て、2002年総会では「平和宣言」を採択し、信仰的立場を表明してきました。

1987年、連盟事務所の土地を処分し、基金を設定しました。それは、教役者年金制度を充実させ、「500の教会、5万の信徒」を目指した開拓伝道に積極的に取り組むためです。また、宣教研究所を開設し、宣教論と宣教方策研究、牧師の継続研修、情報の収集と伝達を通して諸教会に仕える働きも始まりました。また、個別教会で発生し隠蔽されがちな性的嫌がらせ等について、積極的に対応するべくセクシュアルハラスメント防止相談委員会を設置しました。

また、阪神淡路大震災(1995年)や、東日本大震災(2011)などの大規模災害に際しては、被災地支援の働きに加盟教会が立ち上がり、協力してボランティア活動が行われることとなりました。東日本大震災被災地支援活動は、現在も継続されています。

2023年4月現在、全国288の教会、29の伝道所が加盟し、協力伝道献金によって協力伝道を進めています。各個教会は、それぞれ自主・独立ですが、バプテストの群れに連なる兄弟姉妹として互いに協力し、励まし合って、一つの教会では出来ない協力伝道を推進しています。これからも「自立と協力」に基づくバプテスト教会の形成、協力伝道に取り組んでいきます。

 

機構図と働き


理事長:吉田真司 副理事長:松本素代美 常務理事:中田義直 財務理事:梶井義郎

総 会 総会は連盟の協力伝道の方針や具体的な計画を協議するための最高の意思決定機関です。総会に出席し、審議に参加することは、主体的に連盟に加盟した教会の大切な役割です。
監 事 監事の働きは、連盟定期総会で決議された事項が適切に執行されているかを監査する業務監査と連盟の財産管理・会計処理状況を監査する会計監査があり、理事会に陪席します。主任監事は総会で選出された2名の互選で選ばれます。
理事会 包括宗教法人としての責任役員会です。連盟定期総会で決議された事項を執行するための意思決定を行います。総会の選挙によって選出された理事10名に加えて、理事会の推薦によって総会で選出された常務理事、財務理事各1名、合わせて12名で構成されています。理事長、副理事長は理事10名の互選で選ばれます。
常務理事 理事会から付託された業務を行い、連盟事務所業務全般を統括します。諸教会・伝道所の課題や要望を受け、牧師人事の紹介や課題となる事案に対応します。
常設委員会
理事会から付託された業務にあたります。現在、総務委員会、財政委員会、地域協働委員会、研修委員会、ハラスメント対策委員会が設けられています。
特別委員会
理事会に所属し、理事会から付託された業務にあたります。現在、回転資金委員会、神学教育に関する委員会、資料保存・管理委員会、また宣教の課題に取り組む 障がい者と教会委員会、靖国神社問題特別委員会、公害問題特別委員会、日韓・在日連帯特別委員会、部落問題特別委員会、ホームレス支援特別委員会、性差別問題特別委員会が設けられています。
臨時委員会
特定の課題と対応するために、理事会によって臨時又は短期間設置される委員会です。臨時委員会は、課題について検討し、付託された業務を行います。
事務所 事務所は常務理事のもと、連盟定期総会及び理事会で決議された事項を執行します。事務所には、常務理事室、宣教室、総務室が設けられ、様々な協力伝道に関わる働きを担当します。

 

協力伝道

一つの教会では担えない課題に共に力を注ぎ協力していく…
それが私たちの協力伝道

1.人材養成(青少年・献身者)

小学生5~6年向けキャンプや中高生世代の全国大会、また青年ミニストリー協議会などで、歴史的責任を負って育ち行く教会の若者たちを応援しています。また、献身者の掘り起こしを最重要課題とし、特に若い世代の伝道者(国外伝道を含む)の掘り起こしに力を入れ、教会と神学校が連携し伝道者養成と継続訓練に取り組んでいます。

2.国内伝道(教会支援・研修)

各教会の伝道活動や教会形成のために、伝道プログラム、教会特別(牧師給への支援)、不動産取得、講師派遣等の支援制度があります。また、各教会が抱えている課題を共に考え、向き合っていくために様々なニーズに応じた研修プログラムを推進しています。

3.国外伝道(人材派遣・災害支援)

現在、インドネシアとカンボジアにそれぞれ宣教師を派遣しています。また、アジア・ミッション・コーディネーター(在シンガポール)をたて、アジア諸国のバプテストとの協働をしていきます。ルワンダでの国際ミッション・ボランティアの働きも合わせ、和解の福音に仕える働きを目指します。BWA、APBFに加盟し、世界大会への人材派遣や災害支援を通しての国際協力を行っています。