共働の風

経済のしくみ、社会のあり方、国の「国柄(くにがら)」、国際社会の理想像などを包括して提案しようとする「真理」があります。イデオロギーと呼ばれたりもします。このような「真理」は、大きすぎて人間一人一人の心の中に根をおろさないばかりか、逆にこの「真理」のために人間を吸収したり、利用したりしてしまいます。たくさんの人間が、この大きすぎる「真理」によって疲れきっています。

イエス・キリストの言葉は、そんな大きな登場の仕方をなさいません。一人一人の苦しみや悲しみに近づき、その耳元でささやかれる言葉です。「あなたを知っている」「あなたを大切に思う」「立ち上がりなさい」と、そんな言葉です。暗闇の中で、耳元に響く、私への静かなささやきです。だからこそ、私たち一人一人の心に根をおろします。「世界の真理」というよりは、「私の喜び」として、それは告げられるのです。そのような「耳元で聞いた真理」を、屋根の上で告げ知らせるのが福音宣教です。一人一人に与えられた喜びを証しすることが伝道です。

(常務理事 吉髙叶)